事業活動を行っていると毎日のように産業廃棄物が生まれ、次第に膨大な量になってしまうことがあります。
産業廃棄物は一般廃棄物と違い、排出事業者が責任を持って廃棄物処理法で定められた方法で処理・処分をしなくてはいけません。このような理由から、多くの業者では産業廃棄物を適切に処理・処分するために、産業廃棄物処理業者に委託しているのです。
しかし、実際には産業廃棄物と認識していたものの中に、再利用可能な資源が含まれている場合があります。
つまり、産業廃棄物を正しく分別・分解することによって、産業廃棄物の資源化・減少化が実現できるのです。
今回は特に学校で排出される産業廃棄物について、その分別・分解・資源化で得られる効果や環境に配慮することの必要性を説明しましょう。
大切な実験材料を正しく処分しませんか?
残念ながら多くの学校では、産業廃棄物はもちろん、廃棄物全体の仕分けが徹底されておらず、産業廃棄物と一般廃棄物との仕分けすらできていないという問題が発生しています。
その結果、多大な費用が廃棄物の処分にかかってしまっているのです。学校は営利団体ではないからこそ、貴重な資源を最大限有効に活用し、産業廃棄物処分にかかっている費用を節約するべきでしょう。
特に実験を行うことが多い学科のある学校法人では、実験後に排出される産業廃棄物の処分費用も高額になります。
その具体的な例は下記の通りです。
- 建築工学学科:建造物の強度実験によるコンクリート残物・鉄筋
- 物理学部:金属疲労などの研究によるさまざまな産業廃棄物
- 航空宇宙工学科:ロケット素材に使用できるような上質な金属
- 化学学科:遠心分離機などの重要のある金属製装置
このように、学校から産業廃棄物として排出される実験材料の中には、多くの再生可能な資源が含まれているのです。
産業廃棄物の中から資源を取り出すことで、産業廃棄物の処理・処分にかかっている費用を大幅に削減できるでしょう。
廃棄物・ゴミを分別して環境に配慮
廃棄物を素材別に分別することは、資源を廃棄物から拾い上げる第一ステップです。
初めは難しいと感じられるかもしれませんが、「ゴミを出す時には分別をする」という行動が習慣化されれば、廃棄のタイミングで廃棄物の分別が行われることになるでしょう。
この行動は、学校以外の日常生活でほとんどの方が経験しているため、学校での定着もスムーズに進むはずです。
学校から排出される廃棄物を分別すると、大きく分けて次のように分けられます。
- プラスチック類
- 木
- がれき類(学部によりけり)
- 金属
- プラスチック
これらは、特別な知識がなくても分別可能なものばかりだと言えるでしょう。
廃棄物・ゴミを分解して量を減らす
産業廃棄物の処理・処分に必要な費用は立法平米で計算するため、椅子や机などの分解可能かつ大きな産業廃棄物は、工具などを使って可能な限り分解すると良いです。
嵩張る産業廃棄物も丁寧に細かく分解することで、処理・処分にかかる必要が大幅に削減できるでしょう。
分解は分別に比べて手間のかかるステップですが、産業廃棄物の量を削減する方法として非常に有効です。
また、分解することでより詳細に素材ごとの分別が行えるようになります。
廃棄物・ゴミを分解して資源化する
一般的に「ゴミ」と呼ばれる廃棄物の中には、資源化可能なものが含まれています。
例えばアルミや鉄の中には1kg〇〇円で資源として活用可能な素材があり、今まで有料で処分していた廃棄物を資源化できるのです。
年間50トンの資源を産業廃棄物として扱っていた学部では、年間平均で250万円もの産業廃棄物処分費を節約できる計算になります。
実は、今まで捨てていたゴミは資源に変わります。
日本では産業廃棄物の処理場が不足しています。地域住民からの反対も強く、産業廃棄物処理場の新規設置は困難な状態です。
そのため、産業廃棄物の処理・処分に必要な費用は今後も増えていくと考えられるでしょう。
自然環境を守るという目的もあり、産業廃棄物そのもののの削減が求められているのです。しかし、事業活動を続けながら産業廃棄物の排出自体をゼロにすることは不可能です。
そこで重要視されているのが、産業廃棄物の中にある資源を処理・処分前の段階で拾い上げ、産業廃棄物自体の量を減らす取り組みです。
そのためには産業廃棄物の分別・分解の工程が欠かせません。
今まで捨てていたゴミが、資源に変わるという認識のもと、排出している産業廃棄物の量・内容やその処理・処分方法を見直す必要があるでしょう。
学校から排出される廃棄物のうち、資源化可能な物の例は下記の通りです。
- 電源ケーブル:銅線・アルミ
- テーブル:木・スチール
- 部活のバット:アルミ
- 実験装置:アルミ
- 傘:鉄・ビニール
これらはほんの一例であり、多くの資源化可能な廃棄物が存在していることを知っておきましょう。
産業廃棄物の資源化は、産業廃棄物の処理・処分費用の削減にもつながります。産業廃棄物処分に必要なコストについては、こちらの記事も参考にしてください。
少しの手間で産廃費が抑えられる
産業廃棄物は少しの手間を加えるだけで、産業廃棄物の資源化や産業廃棄物そのものの削減効果が得られます。
例えば、学校敷地内にリサイクルステーションのような簡易スペースを設け、仕分けの際に必要な分別容器を準備した上で、リサイクルステーションを利用する学生や教授に分別・分解を促しましょう。ポスターの設置や案内版を用意するのも良いです。
何をどこに捨てるのかがわかりやすく可視化されていれば「ゴミを捨てる前に分別する」という行為は自然と浸透して行きます。
分別・分解方法が学生に定着するまでに多少の時間がかかりますが、学生の手によって産業廃棄物の削減・資源化が可能になり、産業廃棄物の処理・処分にかかっていた費用を節約しながら地球環境に優しい廃棄物処理ができるようになるでしょう。
この取り組みは、会計の節約をするだけでなく、教育の一環としても役立ちます。これから社会に出ていく学生に向けて、基本的な社会生活の学びとしても大切なことだと言えるでしょう。
また、整った校内環境は学校自体の評価・雰囲気に直結します。
産業廃棄物の分別・分解・資源化の取り組みは、学校や学生にとって多くのメリットがあるということです。
まずは専門業者に相談しよう
産業廃棄物の分別・分解には、一定の知識が必要です。まずは産業廃棄物の扱いに対して十分なノウハウを持っている専門業者に相談すると良いでしょう。
産業廃棄物の分別・分解後の処理・処分だけでなく、それまでの工程についての最適なアドバイスを受けた上でリサイクルステーションの設置を行えば、より多くの成果が得られます。
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